2013-01-01から1年間の記事一覧

自宅の人

このまま残暑知らずで秋に突入してほしいもの・・・と窓に雨音を聴きながらつくづく思う。それで猛暑のバランスをとっていただきたい。 テレビで北海道は浜中町の海霧の場面を映している。初夏二〇度を下回ることもあるそうな。羨ましいと思って見ていたが、…

修証一等

年ごとに体力が落ちていくのは当たり前なのだが、それにしても今年の夏は仕事がえらかった。週末は九月からの気分切り替えの為にも、豪遊し続けた。ジム、プールは完全にさぼってしまった。コーチ、ごめんなさい。 初日は、以前から気になっていた「肉とワイ…

野菜その日その日

朝食を摂ったあとに梨を剥いて食べた。一つ百円にしては汁気も甘さもまずまずだったが、丸一個食べ終えた直後から喉や歯茎といった、果肉にふれた部分の粘膜が一斉に腫れてくる。かゆみはない。 桃やメロンではちょくちょくこうなっていたけれど、梨は初めて…

チチェローネ

大学の先輩・後輩(いずれも連句仲間でもある)と『播州地酒 ひの』で呑む。はじめの「奥播磨」が旨かったな。吟醸のくせにひよわな感じがなくて、肴に合う点が気に入った。刺身(しめさばが絶品)、名物ポテサラ、蒸し穴、蓮根天ぷら(歯触りを最大限引き出…

いきものがかり 〜さつま旅の記(4)〜

旅行からもう二週間経っているのだが、ニュースで桜島の「記録的爆発」を見ていると、やはりどうしても鹿児島の三日目のことが思い出される。それを記して締めくくりとしたい。 前夜あれだけ呑んだのに、朝起きてみると、意外にもけろっとしている。これすな…

豚討伐で同士討ち〜さつま旅の記(3)〜

二日目の鹿児島はまずまずの天気。ホテルの温泉にゆっくり浸かってから何はともあれ天文館へ。近くの定食屋に入り、卵焼きとおひたしでビールの小瓶を空けながらバスの時刻を調べる。この日は薩摩焼の窯元が集まる美山へ向かうことにしていた。 『故郷忘じ難…

さつま鳥に食われて〜さつま旅の記(2)〜

結局観光バスの窓から見た桜島はずっと雨煙のなか。これはこれで一つの見物だろうと言い聞かせながら市電・シャトルバスを乗り継いでホテルに戻る。晴れていれば桜島を一望にできるという露天風呂からも当然見えない。それでもなめらかなお湯で体をほどくと…

鎮めの山 怒る島〜さつま旅の記(1)〜

八月の「鯨飲馬読」は旅行の記事からお届けします。一回書いたような出だしだけど。 今回の行き先は鹿児島。暑いだろうが、どうせ猛暑なんでしょという気持ちがあった。つまり失礼ながら半分はやけのやんぱち。暑さを満喫し、暑さに額づき、暑さにヤラれる、…

十分に哲学者―池内紀『カント先生の散歩』〜双魚書房通信(14)〜

池内紀は贔屓の書き手だけど、対象がカントじゃなあ。 そういう本読みも安心していい。著者が自分でこう書いている。 たいてい、名前だけなら知っている。哲学者カントである。いつ、どこで名前を知 ったのかは覚えていない。(中略)いずれにせよ名前だけで…

言語時評2013/読書日録

職場のすぐ近くに消防署があって、救急車や消防車のサイレンを耳にすることは割合多い。ある日のこと、消防署の側を歩いていると、消防車が例の音をはりあげて出動しかけていた。こちらの前を歩いていた、どう見てもその筋の人間という中年男二人組の一人が…

阿波と泡〜徳島一泊旅行(2)〜

翌日は鳴門に遊ぶことにしていた。「園」ファンとしてはとくしま動物園もすてがたかったけれど、免許を持たない身としては一日で鳴門・動物園を電車で回るのは強行スケジュールに過ぎる。 鳴門行きのバスは十時に駅前から出る。この日鳴門のほうで大きな競技…

川のほとりに鮎の宿 〜徳島一泊旅行(1)〜

『鯨飲馬読記』、七月はじめの記事として徳島旅行記をお届けします。 旅行といっても一泊なのですが。 移動時間がなるべく短くて済む町、ということで岡山か徳島か福井というところまでは絞り込んでいたのだが、さる食いしん坊の友人にたまたま旅行の話をし…

マニエリスムの快楽

このところ、朝はトースト一枚(バターをこてこて盛って蜂蜜をかける)、ベーコンエッグ、ヨーグルト、果物という献立が続いている。和食にするとあれこれ手を加えたくなるので、パンのほうが時間が短くて済むのだ。 飲み物は大抵紅茶。しかし、昨日スーパー…

地獄は何処にあるか

気鬱なことがあって、ジムで無茶苦茶に体をいじめた。全身の筋肉がぱんぱんに張ってきて悲鳴をあげている感じが快い(マゾかしら)。だがそのままスイミング(こちらを本番と考えている)に行くべきではなかった。文字通り手も足も出ない。それでもクロール…

言語時評2013

○同僚と三宮の居酒屋に入ろうとした時のこと。ドアを開けても誰も出て来ない。呼び鈴を鳴らしてもしーんとしている。全席個室のつくりなので、客のざわめきは響いているけれど、人の姿が見えない。諦めて出ようとしたときに、おそろしく不機嫌な顔をした若い…

御前試合

師匠のお宅での《稽古》句会もはや三回目にして、今回が打ち止め(となるはずである。この後は《本番》試合あるのみ)。ま、連句のほうは諸先輩方より少々上と自負しておりますから、こちらはとくにプレッシャーも感じずにめでたく巻き終えたのですが、タイ…

ワサビからハト

テレビの旅番組で紹介していた、奥多摩のわさび田の映像を見ている内、無性に山葵が食べたくなって市場に急行した。 一本一二〇〇円。何日も楽しめることを考えたらそう高い値段ではない。せっかくの生山葵を手荒く卸したのでは生命である香気が立たないから…

めだかの学校

バルコニーに睡蓮の鉢を設置した。睡蓮はいちばん好きな花。仏教臭いイメージが強いけれど、甘美な夢想とも結びつく一面があることは日本人には意外と知られていない(P.ジュリアン『世紀末の夢』)。 もちろんメダカ入り。一人暮らしなので洗濯物でバルコ…

書物供養

昼前に三宮で理事会(末席で座ってるだけ)を終えた後、寿司屋で飯を食い、ジュンク堂や紅茶屋、葉茶屋、ショコラティエなどを回って買い物。まだ風が乾いてるからしのげるが、それにしても日差しが眩しい。 で、家に帰ってシャワーを浴びたところまではよか…

雨に煙る焼き物のまち〜九州旅行③〜

と思っていたが、翌朝は意外にすっと起床。まだ飲み足りなかったのか。 ともかく駅に戻って、いちばん早くに乗れる唐津行きの列車を探してもらう。駅弁を買うついでに、武雄名産というレモングラスのお茶などの土産もいくつかもとめる。 この日は予報通り朝…

ここにも大樹有り〜九州旅行②〜

午後はグラバー園から造船ドックのほうに回り、さらに余裕があればペンギン水族園も…と思っていたがこの日の午後はグラバー園と大浦天主堂のみで手一杯。いうまでもなくビールの飲み過ぎのせいだけど、初めての街を知るには歩くに如かず、とバス・タクシーは…

長崎は快晴なりき〜九州旅行①〜

今回の旅行、一番のヤマ場はひょっとして出発までにあったのかもしれない。 六時前に仕事を上がって帰宅するとざっとシャワーを浴び、留守番メモを残して、あらかじめ用意してあった荷物をひっつかんで家を出る。 とこう書けば、べつにだらだらしてたわけで…

王としての樹木

詩人・多田智満子の「桂の清水」というエッセーがある(『森の世界爺』所収)。根元から滾々と清水を噴き上げる桂の大木を見に行ったという話から始まって、神話的思考への愛着を公言していた多田さんらしく、最後は樹木と水と聖なるものとの関連性というか…

空飛ぶ烏賊

人と会う約束をしていたので、久しぶりの雨の中を歩いてトアロードに向かう。行き先は『紀茂登』。一年ぶりくらいになるのだが、一本目を頼んで出てきた銚子は、初めての時にくれた錫の猪口のツレになるもの(「絶句した」で書きました)。おや、と思って前…

連休連闘

師匠のお宅は、阪急芦屋川を下辺、奥池あたりを上辺とした矩形の大体真ん中あたりの高さに位置している。先日連句の会へのお招きを受けたので、初めて歩いて上ることにした。これまではずっとタクシーを使用していた。 グーグルマップの案内では7分とあった…

青天の霹靂

前日の酔いを抱えたまま、四天王寺の古本市へ。インターネットで探せば大抵の書物は手に入るとしても、世の中にどんな本が出ていたのかはやっぱり文字通りの本の山の間を歩いてみないと見えてこない。 会場についたときから風の冷たいのは気になっていたが、…

野薔薇は見たり

士大夫たる者、三日書を読まねば、顔貌悪(にく)むべし。(たしか)黄山谷の厳しい断言を引いて、中国文人のエピキュリアン的生活と我が国、といっても石川淳のことだから、江戸の戯作者のそれとの距離を明晰に測定してみせたのが、『夷齋筆談』冒頭の一篇…

道化の桜

四月初めの記事らしく、桜の話題です。 最初に花を見たのは、正確に言えば三月末なのだが。赤軍女性将校(前項参照)のダンナから、「少し呑みませんか」とお誘いを受けて、三宮に出たのが先週末。所属していた研究室の解散会になるというので、こちらは家で…

勝利の方程式

代休が入って珍しく午後までの出勤だったから、当然の如く昼間開けてる居酒屋で下地を入れる。花粉症の薬が効いて、鼻も口中もカラカラになっているところに流し込むビールが旨い。鼻からビール飲んでるわけではないですが。鯖の煮付けと蛍烏賊の酢味噌がよ…

春のすき焼き

すき焼きに旬なぞないでしょうが、いかにも春らしいすき焼きを食ったという話。 職場の清掃をお願いしている方から、菜園(事務所の傍らにある)取れたての青葱を、文字通り山ほどいただいた。この一週間くらい、気温にも日差しにも恵まれただけあって、青々…