ふだん晩の食事に米粒の類は食べないが、「食べない主義(?)なのである」となっては窮屈なわけで、たまには酒を入れずに文字通りの晩「飯」にすることがある。あまり無いことなので、そういう時には気合いを入れて「ご飯のおかず」を作る。スーパーでぶつぶつ言いながら歩き回る。
この日のメインは・・・やっぱりこれだけ寒いのだ、今らしく
・真魚鰹の西京焼き(自家製なので、これは前から準備。さる酒屋からなかなか上等の白味噌が手に入るので、それを酒と味醂で伸ばしたもので三四日漬けている)
汁はどうしよう。粕汁は先週したばかりだしな。白赤の袱紗味噌で仕立ててもいいが、西京焼きと味噌が重なっても煩い。すましでいこう。干し椎茸をあてもなくもどしていたので、それも加えて、
・けんちん汁(牛蒡、干し椎茸、大根はいずれも繊に。こんにゃくは手でちぎってアク抜き。具は太白胡麻油で、歯ごたえを残してさっと炒めておく。鰹・昆布の出汁は濃い目に引いておきます。酒はたっぷり入れる。味付けは塩メイン。醤油は香り付け程度に。椀によそってから芹のこまごまを散らす)
折からの高値ながら、青味も一品ほしいところ。菜の花一束二百円はまあまあか。
・菜の花胡麻よごし(さっとあぶってから刻んだ薄揚げと練り胡麻(白)・薄口醤油・辛子少々で和える)
まだなにか寂しい・・・冷蔵庫には焼き穴子があったはず。ふだんならこれを炙り直してお茶漬け(花山椒の佃煮をあしらう。煎茶は濃い目に)と参りますが、今日はこれを、
・出汁巻き(真ん中に焼き穴子を刻んだのと三つ葉をさっと茹でて刻んだのを入れる)
としよう。これに作り置きの
・手羽元のトマト煮込み
と
・百合根と笹身の梅肉和え(笹身は酒蒸しの後細く割く。梅肉は笹身の蒸し汁で伸ばす。すり山葵を少しいれると豪奢な風味となります)
で完成。漬け物は市場で買った酢茎。ぼくにとっては茄子の浅漬けと並ぶ漬け物界の二大スターである(ここらへん東海林さだお乃至椎名誠風)。
・・・とここまで作ると、なんだかやっぱり一杯やりたくなって「初孫魔斬」を取り出す。旨い。もうメシはいっか。