2011-01-01から1年間の記事一覧

神戸ロビンソン

奈良の南部や和歌山は大変な水害になったが、兵庫のそれも神戸市内は結局梅雨時分の降りかたがやや強くなった程度で、実感はないまま台風は近畿を縦断していった。 土日はたまたま両方とも休みだったが、さすがに遊びに出る気にはなれず、家で「籠城」を決め…

秋の身じろぎ

久々のお客は五名。いずれも三宮呑み友達。同年代の人が多いので(一人は一回り下だが、オッサンぽいから同じことである)話題にも話ぶりにも気が置けなくて楽。 献立は、 ・冬瓜の海老あんかけ(冷蔵庫でちべたーくして出す) ・茹でタン(赤ワインに一週間…

四国二分の一周③ 松山〜ブンガク的感想〜

松山まではのどかな田舎の風景を見ながら、普通列車で四時間弱。さっそく路面電車に乗って道後温泉のホテルに向かう。切符は一日券。四百円で乗り放題はすこぶる使いでがある。 さて道後温泉は十五年まえに変わらず、右を見ても左を見ても「坊っちゃん」の文…

四国二分の一周② 宇和島〜夢の街〜

やっぱり疲れてたんだろうな。予定の電車には間に合わず。三時間ほど閑が出来たので、やむなく「高知といえば桂浜、てな典型的な観光客の一人」となることにする。 桂浜を忌避していたのは、前回旅行からだいぶん経っているので観光施設が整備されている、と…

四国二分の一周① 土佐〜宴のあと〜

四国は学生の時分だから、もう十五、六年前に一度来たばかり。なので、高速バスを下り高知駅を見てびっくりした。巨大な戦艦か何かのようなモダンな建築。駅前のだだっぴろさ(と何にもなさ)にも一驚。よさこいまつりの時はここに大群衆がつめかけるのだろ…

百舌鳥の早贄

もうすぐ夏期休暇。どこにも行かず何にもせず、節電の折しもクーラーのよく効いた部屋で昼間っから酒をあびるように呑みながらごろごろする。それが当節いちばん贅沢な「ヴァカンス」(語源は“空白”)だと思うが、貧乏性で四国へ旅する計画を入れてしまった。…

ふつうに、日記。

某月某日 久々にプールで距離を泳いだら(といっても大したことはないのだが)、足腰が立たなくなった。 この日は家で冷やしとろろ汁と穴子丼で夕食の予定だったのだけど、作る気力も消尽した思いで、帰りがけにあったラーメン屋に入る。 こちらにとってラー…

夢の余波(なごり) 栄華の記憶 

大学院では漢詩文を専攻していたのに(ただし江戸時代の日本)、中国史に対しては映画や朝食にパンケーキを食べることや寝る前に腹筋をすることと同程度、というのは、たまに熱中してはまた長い間ほったらかしという程度の付き合いしかしていない(というこ…

真夏の果実

給料も出たし、呑みに出ようかな・・・と思いつつ一応スーパーに寄ってみると、魚が色々安かったので、急遽「家呑み」に切り替える。 穴子(生。三尾)は皮目に熱湯をかけ、包丁の背でぬるぬるをこそげたあと、白焼きして、半分はそのままわさび和え(三つ葉…

一枝を剪らば・・・

三宮に用事があって出かけた。トアロードに紅茶専門店を見つけたので入ってみたら、なかなか感じのよいお店だった。ふだんフレーバードティーは呑まないが、中国緑茶にバラの花びらと矢車菊を混ぜた銘柄の香りがすがすがしくて面白そう。水出しも大丈夫、と…

絶句した

久々に心揺さぶられる料理を食べた。先付 はも、ずいき、梅ジュレ添え(蓮の葉に) 飯蒸 玉蜀黍、ズッキーニ 椀 あこう真蒸、冬瓜 造り あぶらめ、鯛 八寸 蓴菜、栗南瓜(クリームチーズ味噌漬射込)、きぬかつぎ、鴨塩焼、蒸し鮑、蛸、椎茸とずいき胡麻クリ…

シュルシュル、パーンの夏

連日お腹が痛い。 食(水)あたりなのか、寝るときに扇風機をかけっぱなしで冷えたのか、ビールの飲み過ぎなのか、はたまたいつかの(と言わなければならないトシだ)ジムの筋肉痛なのかが分からない。 以前も、数年ぶりかで二日酔いで吐いたなあと思ってい…

夏料理

久々に三宮の割烹『なが坂』に行った。前回は寒いさなか、予約もせずにしかも閉店にまもない時間に飛び込んだ。一月だからということだろう、お椀に花びらもちを模した趣向がこらしてあったのが嬉しかった。今回の献立は以下の如し。 先付 胡麻豆腐、甘海老…

我が愛しのミナミ

家に帰ってみると、何本かある水槽のうち、ミナミヌマエビだけを飼育しているところで稚エビが孵化していた。糸くずのようで、見えるか見えないかの大きさながら(虫眼鏡でのぞいてみると)くりくりといっちょまえの目玉が付いているのがかわいらしい。 こど…

『詩という仕事について』(J.L.ボルヘス)〜双魚書房通信 ⑥ 〜

《魔術師 魔術を語る》 「詩とは何か?」―その答えを20世紀文学最大の守護聖者の一人である巨匠が解き明かしてくれるのではないか。書名を見てそう考え、手に取った人も少なくないはずだ。実をいうと評者もその口であった。その期待にこの一冊は答えてくれた…

フジミのあいつ

生きのよい川津海老が安かったので、茄子とくっつり炊いた。この日は鹿の子に包丁目を入れて水にさらしただけだったが、丸のまま揚げてから炊いてもいい。味はこころもち濃いめ。肝腎なのは一晩味を含ませること、冷たく冷たくして食べること、摺り生姜を忘…

大味小味

雨の音を家で聴くのは落ち着くものだ。ジムで一汗かいてもどり、シャワーを浴びたら浴衣に着替えてさっそく一杯。午後から読みたい本がたまっているのでこれは酒ではなく玉露。氷出しのものをグラスに半分ほどのものをちびちびやる。そして例のBSの番組を…

栄枯盛衰

土曜日は友人の誕生日祝いで食事をしたあと、人と待ち合わせがあったのでそれまでの時間つぶしにバーを二軒。一軒目は盛り場から少しそれた所にひっそりある。おんぼろビルの中になかなか趣のあるしつらえで、ちょっぴり贅沢な時間を過ごすために数年前まで…

ご挨拶。

これまで当ブログをご高読いただいていた皆様へ。 「鯨飲馬読記」は六月末をもって閉鎖し、『はてな』中の「双魚書房通信」(http://d.hatena.ne.jp/pisces0307/)に移転します。過去のブログ記事はこちらにすべて移す予定です(結構愛着がありますので・・…

ご挨拶。

これまで当ブログをご高読いただいていた皆様へ。 「鯨飲馬読記」は六月末をもって閉鎖し、『はてな』中の「双魚書房通信」(http://d.hatena.ne.jp/pisces0307/)に移転します。過去のブログ記事はこちらにすべて移す予定です(結構愛着がありますので・・…

栄枯盛衰

土曜日は友人の誕生日祝いで食事をしたあと、人と待ち合わせがあったのでそれまでの時間つぶしにバーを二軒。一軒目は盛り場から少しそれた所にひっそりある。おんぼろビルの中になかなか趣のあるしつらえで、ちょっぴり贅沢な時間を過ごすために数年前まで…

雉も鳴かずば

久々に東三国の『とりや 圓』で呑む。今日は独り。五時開店と思っていったら、看板には六時からとある。仕方がないのであたりをぶらぶら。街並みは正直なところ、典型的な場末という感じで趣を求めるべくもないが、周囲とは不調和な木の茂みに目がとまってそ…

雉も鳴かずば

久々に東三国の『とりや 圓』で呑む。今日は独り。五時開店と思っていったら、看板には六時からとある。仕方がないのであたりをぶらぶら。街並みは正直なところ、典型的な場末という感じで趣を求めるべくもないが、周囲とは不調和な木の茂みに目がとまってそ…

晩年の仕事

今日は三つ葉のオムレツとオニオングラタン。卵は出張途中、但馬の農園で求めたもの。三つ葉は自宅のプランター産。オニオングラタンのタマネギは職場の菜園からの収穫。缶ビールを呑みながらのんびりと小一時間タマネギを炒め続けた。料理の合間に読んでい…

晩年の仕事

今日は三つ葉のオムレツとオニオングラタン。卵は出張途中、但馬の農園で求めたもの。三つ葉は自宅のプランター産。オニオングラタンのタマネギは職場の菜園からの収穫。缶ビールを呑みながらのんびりと小一時間タマネギを炒め続けた。料理の合間に読んでい…

果てしなき宴 −E.S.P.リコッティ『古代ローマの饗宴』 〜双魚書房通信⑤〜

ローマ史を好む人、食いしん坊だけではなく、人間性あふれるゴシップを愛する読書家すべてに推薦できる本。 ローマ史について今までのしかつめらしい政治史の書物が教えてくれなかった情報がたくさん詰まっている。たとえば、ローマの食堂にはアサロトス・オ…

もの・イデー・ことば

以前ちらっと書いたことがあったが、ぼくの長年の野望は「石原版」日本思想史をものすること。勢い、日本思想史・日本文化論と銘打った著作に眼を通す機会が多くなる。多いのだけれども、感服することはおろか、啓発ないし(戦闘意欲をかき立てられるという…

もの・イデー・ことば

以前ちらっと書いたことがあったが、ぼくの長年の野望は「石原版」日本思想史をものすること。勢い、日本思想史・日本文化論と銘打った著作に眼を通す機会が多くなる。多いのだけれども、感服することはおろか、啓発ないし(戦闘意欲をかき立てられるという…

女王の島

『クイーン』のヘレン・ミレンが主役の『テンペスト』、公開初日に観に行く。デレク・ジャーマンの『テンペスト』(たしかプロスペロはギールグッド)の印象が強いこちらとしては中途半端で白ける場面も多い。演出のせいなのか。映画は「ど」の付く素人なれ…

女王の島

『クイーン』のヘレン・ミレンが主役の『テンペスト』、公開初日に観に行く。デレク・ジャーマンの『テンペスト』(たしかプロスペロはギールグッド)の印象が強いこちらとしては中途半端で白ける場面も多い。演出のせいなのか。映画は「ど」の付く素人なれ…